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USB PDとは
前回はUSB形状と規格についての記事を掲載させていただきました。
今回はUSB PD(USB Power Delivery)について簡単にご説明したいと思います。
・USB PDとは?
USB Power Delivery(USBパワーデリバリー)の略語であり、前回ご説明したUSB規格の中のUSB Type-Cポートを経由して、最大100W (20V/5A)までの受給電が可能となる規格の事です。
USB PD以前の規格では、スマホやタブレット等小型機器を充電できる程度の電力しか供給ができませんでしたが、USB PDではノートパソコン等の大型機器への給電も可能になった事が大きな変化です。
・USB PDの特徴
USB PDにはいくつかの特徴があります。
1.双方向でのやりとりが可能に
USB PDはロールスワップという機能により、電力の供給側と受給側をスワップ(入れ替え)できることが可能です。
例として、ノートパソコンと液晶ディスプレイをケーブルでつないだ場合、ノートパソコンにACアダプタが接続されていて、
ディスプレイにACアダプタが接続されていなければ、ノートパソコンからディスプレイに給電されます。
その逆ならディスプレイからノートパソコンへと給電される事になります。
2.高速(急速)充電が可能に
USB PD対応のUSB Type-Cケーブルには、「CC」という充電器とデバイスの間で通信を行うための信号ラインが搭載されています。
この信号ラインにより、デバイスの要求に合わせて最適な電力が選択され、高速充電が可能になります。
※受電・給電いづれもPD対応が必須。
3.色々な機種に給電が可能に
USB PDは5V、9V、15V、20Vの4つの電圧に対応した電力を供給が可能です。
そのため、スマホやタブレットのみではなく、電力が大きいノートパソコンやディスプレイなど、色々なデバイスへの給電が可能になっています。
また、USB PD充電ではUSB Type-Cコネクターを使用するため、Type-C充電機器を複数所持している場合は、
充電器の一本化ができるため、外出時の持ち物を減らせるという大きいメリットがあります。
・USB PDを使用する際の注意点
1.USB PD対応の機種に対して使用する
USB PDを利用するためには、使用しようとしている端末、充電器、ケーブルの全てがUSB PDに対応している事が必要になります。
いづれか1つでも対応していなければ、USB PDの機能が利用できないので注意が必要です。
また、USB Type-Cコネクターだからといって全てがUSB PDに対応しているとは限りません。
利用の際は対象機器がUSB PDに対応しているか確認をしてから使用する必要があります。
2.使用する機器に対する電力容量
USB PDを利用する際には、充電器やケーブルが充電する機器に対して電力が足りているか確認が必要です。
消費電力容量が大きい機器に出力の小さいPD製品を使用しても、高速充電にならなかったり充電ができないといった場合が想定されます。
例として、充電に60Wの電力供給が必要なノートパソコンに30W対応のPD AC充電器とケーブルを接続した場合には、
ノートパソコンの消費電力の方が大きいため、充電されません。
また、60WのPD AC充電器やケーブルでは、充電自体は可能ですが状況によっては高速充電ができない可能性もあります。
上記を回避するためには、充電する機器より若干容量の大きい充電器とケーブルを選定しなくてはなりません。
スマホの充電には30Wくらいの充電器とケーブル、ノートパソコンの充電では60Wくらいの充電器とケーブルを推奨します。(充電器はPD対応機種にて)
ケーブルも60W迄の対応品と60W以上対応品がありますので、ケーブルにも注意が必要になります。
今回はUSB PDには様々なメリットがあるので便利な規格となっています。
ここ最近ではUSB Type-C対応の機器が爆発的に増加しており、今後益々普及していく事が想定されますので、
通常のACアダプタではなくPD対応ACアダプタ製品を検討してみてはいかがでしょうか?
※画像は金辰電子株式会社製のUSB PD充電器です。
最後に
富士和電子の本業である電子部品・電子機器、カスタム(特注)電源、電子機器の開発受託等にも、興味がございましたら是非お問い合わせくださいね。